キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)とは?
キュービクルとは、正式には「キュービクル式高圧受電設備」と呼ばれるもので、高圧電力を受電し低圧に変換して供給するための設備です。主に商業施設やオフィスビル、工場や学校など、比較的大規模な電力が必要な施設に設置されています。
キュービクルはコンパクトな構成である点が特徴で、変圧器や遮断器などの設備一式を金属製のケース内に収めたユニット型の設備です。
現在の日本では、多くの企業や公共施設においてキュービクルが必須の設備となっています。特に、ビルや工場のような大量の電力を必要とする施設において、キュービクルは電力供給の安定性と安全性を担保する役割を果たしています。
キュービクルの主な種類
キュービクルは、その設置環境や目的に応じていくつかの種類に分類されます。
屋内型キュービクルと屋外型キュービクル
設置するロケーションに応じて、キュービクルは「屋内型」と「屋外型」に分類されます。
屋外型は、特に広範囲な設備が必要な場面で有効ですが、設置に際して法令遵守が必須です。一方で、屋内型は建物内に置くため、気候の影響を受けにくく安定的に稼働するメリットがあります。
分類 | 特徴 | 主な用途 |
屋内型 | 建物内に設置されるタイプであり、雨風や直射日光の影響を受けない。コンパクトな設計が可能で、保守性が良い。 | 商業施設、オフィスビル、データセンターなど |
屋外型 | 屋外環境で使用されるタイプで、耐候性や耐久性に優れた設計が施されている。設置場所の柔軟性が高い。 | 工場、発電所、高圧設備を要する大規模施設など |
特殊用途向けキュービクル
さらに、特殊な環境や条件で使用するために設計されたキュービクルも存在します。
たとえば、鉱山や油田などの厳しい環境下では、防爆機能を備えた防爆型キュービクルが採用されることがあります。このタイプは耐圧性能の向上や耐久性の強化が図られており、極限条件下での電力供給を確保します。
また、自然災害の多い地域では、地震や洪水に対して強化された耐震・防水タイプのキュービクルが選ばれます。これにより、万一の災害時でも電力供給を維持できる可能性が高まります。
キュービクルの耐用年数は

キュービクルの耐用年数は、一般的には15〜20年とされています。
この期間は、電気設備の使用環境やメンテナンス状況による影響を受けます。特に、屋外型キュービクルでは、紫外線や雨風などの外部環境による影響が大きくなるため、耐久性を確保するためには定期的な点検が欠かせません。一方、屋内型キュービクルは、環境要因の影響が少ないため、より長期的に使用されるケースが多いです。
また、設備そのものの使用年数だけではなく、設置に使用されている部品や素材についても耐用年数が定められています。中でも、断路器や遮断器、変圧器といった主要機器は、その寿命や耐久性を定期的に確認することが求められます。
耐用年数を延ばすためのメンテナンス方法
キュービクルの耐用年数を延ばすためには、日々のメンテナンスが欠かせません。
メンテナンス項目 | 主な内容 | 推奨頻度 |
外装の清掃 | ほこりや汚れを取り除き、放熱を改善 | 月1回 |
内部機器の点検 | 断路器や遮断器の動作確認、接続部の緩み確認 | 半年〜1年に1回 |
絶縁性能の測定 | 絶縁抵抗計を用いて劣化具合をチェック | 半年〜1年に1回 |
冷却機構の点検 | 扇風機や冷却ファンの動作確認 | 年1回 |
老朽化部品の交換 | 劣化した配線や端子の交換 | 必要に応じて |
キュービクルの導入メリット
コスト削減
企業や施設がキュービクルを導入する最大のメリットの一つはコストの削減が期待できる点です。通常、電力契約における高圧受電は低圧受電に比べて電力量単価が抑えられる傾向があります。
また、キュービクルはその設置や構造が効率的であるため運用管理コストそのものを抑える効果も期待できます。
安全性向上
キュービクルを導入することは、電気設備全体の安全性を高い水準で確保できるというメリットもあります。多くのキュービクルが耐久性に優れた素材や設計を採用しており、雷や過電流といった外部要因への影響を最小限に抑えます。
特に、漏電や短絡事故のリスクを軽減するための遮断器や遮断装置を内蔵したモデルも多く、これにより施設全体の突発的な停電や設備の故障を防ぐことができます。高圧設備を扱う場合のリスク管理が徹底できる点は、事業者にとって非常に大きなメリットと言えるでしょう。
キュービクルを導入する際の注意点
キュービクルを導入する際には、設置環境、法的基準、メンテナンス体制など、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。
設置場所
項目 | 具体的な条件 |
スペース | 十分な作業スペースを確保するため、キュービクルの設置サイズに適応した場所を選ぶ必要があります。 |
通風と換気 | 設備内の温度を一定に保つため、適切な通風と換気が必要です。特に屋内型の場合、熱がこもらないよう工夫が必要です。 |
防火対策 | 周囲に可燃物がない場所を選び、消防法などに従った防火措置を実施することが求められます。 |
アクセス性 | 点検や修理が行いやすいアクセスの良い場所が望ましいです。扉や通路のサイズにも注意を払いましょう。 |
法的な確認
キュービクルの導入には、電気工事や安全基準などに関する法的な条件を満たすことが求められます。これを怠ると、トラブルや罰則の原因となる可能性があるため、事前の確認が欠かせません。
電気事業法や施工基準の遵守
日本国内では、電気事業法に基づき高圧受電設備の設置や運用に関する一定の規制があります。例えば、電気設備の技術基準を定めた省令(電気事業法下の基準)を遵守する必要があります。
自治体ごとの規制
自治体によっては、独自にキュービクル設置に関する規制が定められている場合があります。これには、騒音規制や景観保全に関連する条件などが含まれることがあります。
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https://www.kdh.or.jp
まとめ
今回の記事では、キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)についてのご紹介しました。
キュービクルは、安定した電力供給を実現し、安全性を確保できる高圧受電設備として、企業や施設にとって重要な役割を果たしています。 耐用年数や法的な点検基準を正しく理解し、適切なメンテナンスを行うことで、長期的なコスト削減と安全対策が可能です。また、設置場所や法令を遵守することで、安全かつ効率的なエネルギー活用が期待できます。
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